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コンセプト

足りなかったのは「栄養」です

「栄養」という言葉から一般的にイメージされるものは、大きく分けて以下の3つの要素です。

  1. 五大栄養素(「炭水化物」「たんぱく質」「脂質」「ビタミン」「ミネラル」)とバランス
  2. 体への具体的な効果:体を作る・動かすための「燃料」や「材料」としての役割
  3. 具体的な食べ物やサプリメント
    • 健康的な食事: 野菜、魚、玄米、発酵食品(納豆やヨーグルト)など。
    • 補給ツール: 野菜ジュース、ビタミン剤、プロテイン、栄養ドリンクなど。 

一方、病気の治療において必要とされる「栄養」は、単なる健康維持とは異なり、「体の修復」「免疫力の維持・強化」「治療副作用の軽減」を目的とした「治療の土台」として位置づけられます。 

具体的に重視される栄養素と役割は以下の通りです。
1. 体の修復と免疫を支える栄養素:たんぱく質、ビタミンA・C、亜鉛・ミネラル
2. 治療を完遂するためのエネルギー炭水化物(糖質)と脂質
3. 病態に応じた「食事療法」疾患によっては、特定の栄養素を「あえて制限」または「強化」することが治療そのものになります。
4. 水分と消化の良さ
医療現場では、これらを適切に管理することを「栄養管理(栄養療法)」と呼び、薬や手術と同様に重要な治療の一部とされています。 

 

他方、獣医療の現場では、単なる給餌を超えた「栄養管理(栄養アセスメント)」が標準的な診療の一部として組み込まれています。
2025年現在、国際的なガイドラインに基づいた評価と、病状に合わせた専門的な食餌療法が実施されています。
1. 国際標準の栄養評価ガイドライン世界小動物獣医師会(WSAVA)が策定した「犬と猫の栄養評価ガイドライン」が世界的な指標となっています。日本の動物病院でも、これに基づいた以下の評価が推奨されています。 

  • 第5のバイタルサイン: 体温、脈拍、呼吸、痛みに加え、栄養状態を重要な生命兆候として評価します。
  • BCS(ボディ・コンディション・スコア): 脂肪の付き具合を9段階などで評価します。
  • MCS(マッスル・コンディション・スコア): 筋肉の減少具合(削げ方)を評価し、病気による消耗を確認します。 

2. 療法食の適正使用と指導特定の疾患(腎臓病、尿石症、食物アレルギーなど)がある場合、獣医師の診断と指導のもとで「療法食」が処方されます。

  • 獣医師による管理: 療法食は薬ではありませんが、特定の栄養素を制限または強化しているため、自己判断での継続は危険を伴う場合があります。
  • 定期的な見直し: 減量中であれば月1回、慢性疾患(腎臓病など)であれば定期的な検査結果に基づき、食事内容の変更や給与量の微調整が行われます。 

3. 重症患者への栄養サポート自力で食事が摂れない入院動物に対しては、以下の高度な栄養管理が行われます。

  • 経腸栄養: 鼻や胃に設置したチューブを通じて栄養を補給します。
  • 静脈栄養(TPN/PPN): 消化管が機能していない場合、点滴によって直接血管から栄養を入れます。 

4. 専門資格と組織より専門的なアドバイスを行うため、獣医師以外にも食の専門家が連携しています。

  • ペット栄養管理士: 日本ペット栄養学会が認定する資格で、獣医師や愛玩動物看護師などが取得し、病院での栄養指導に活用されています。
  • 認定病院や専門外来: 大学病院などでは「栄養科(栄養サービス)」が設置され、手作り食のレシピ作成や複雑な症例の栄養計算を行うことがあります。 

動物病院を受診する際は、体重測定だけでなく、現在のフード名や給与量を正確に伝えることで、より適切な栄養管理のアドバイスを受けることができます。 
 

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